女性

心配な症状が現れたら相談|強靭なメンタルでうつ病を吹き飛ばそう

ストレス社会を生きる

悩む女性

負の思考連鎖からの脱却

現代社会の特徴を示す言葉として、しばしば閉塞感という表現が使われます。高度経済成長期やバブル経済期と比べ、バブル崩壊後の日本は長く経済が停滞していました。世の中全体に漂う閉塞感が職場やその他の人間関係にも影響しており、余計にストレスを受けやすい社会構造となっているのです。ストレスを原因とする心の病気が増えている状況を反映しているのか、全国で精神科や心療内科のクリニックが増加しています。心の病気として最も代表的なうつ病もまた、過去20年間で患者数が倍以上に急増しました。現在では全国で100万人以上の人がうつ病治療を受けていると推定されており、社会問題にもなっています。うつ病も軽症なら自然治癒する場合もあるため、医療機関を受診せずにいる人も少なくありません。実際の患者数はさらに多いものと考えられます。うつ病はかつて心の風邪と表現されたくらいですから、症状が軽いうちなら休養する程度で治るとも言えます。しかしながら症状がある程度進行してしまうと、風邪をこじらせて肺炎を発症した場合と同様に自力で治すのは困難です。うつ病治療に最も適した診療科は精神科ですが、心療内科も心の病気を治すことは得意としています。うつ病は薬が効きやすい病気と言われており、抗うつ薬を飲むだけで症状が大きく改善した患者さんも少なくありません。ただし一方では、治療患者の内30%前後の方は、抗うつ薬を服用しても症状が十分に改善されていないという報告もあります。こうした治療抵抗性うつ病や、他の精神疾患を併発しているケースでは心理療法が治療の鍵です。特に認知行動療法は負の思考連鎖から脱却してうつ病克服が期待できるため、患者さんの間でも根強い人気があります。

ストレスホルモンを減らす

うつ病の発症メカニズムも解明が進んでいます。従来は脳の神経細胞でセロトニンの量が減少することにより、情報伝達に支障が生じると考えられていました。実際にSSRIとも呼ばれる選択的セロトニン再取り込み阻害薬がうつ病治療に高い効果を発揮しています。薬の力でセロトニン減少を食い止め、神経伝達環境を調節できると考えられていたのです。一方ではセロトニンの減少だけでうつ病発症をすべて説明できず、SSRIが効かないケースもあります。研究が進められた結果、ストレスホルモンが発症に深く関わっている事実も明らかになってきました。人はストレスを受けると脳の扁桃体からの指令を受けて、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。強いストレスによって扁桃体が異常に興奮するとコルチゾールが際限なく作られるため、脳に悪影響が及んでしまうのです。過剰なコルチゾールの作用で脳の海馬が萎縮したり、前頭前野の活動が低下したりするとうつ病発症につながります。脳にダメージを与えるコルチゾールを減らすには、扁桃体の働きを正常にする治療が欠かせません。精神科や心療内科では、薬だけでなく心理療法も使ってこのストレスホルモンを減らすようにしています。心理療法には前述の認知行動療法以外にも対人関係療法などがあります。ストレスの原因となった人間関係を整理することにより、扁桃体の状態を正常に戻すことができるのです。仮にうつ病が重症化していても、SSRIなどの薬と心理療法との組み合わせで克服は十分に可能です。生きづらくなったと言われるこのストレス社会で生きていく中では、時として精神科や心療内科での治療に救われる場合もあるのです。